視界がまぶしい、まぶしく感じる症状について
まぶしいという症状は医学的には羞明と呼ばれていて、これまでよりもまぶしく感じる、目を開けているのが辛い、戸外では光が多くて物がはっきり見えない、光源の周囲に光の輪が見えるなどを含みます。原因は多岐に渡りますが、痛みを伴う場合と、痛みを伴わない場合で疑われる疾患が変わります。瞳孔が開いてしまう動眼神経麻痺、白内障による水晶体の濁り、黄斑の変性や萎縮などでは痛みがありませんが、角膜が傷付いている場合や緑内障、ぶどう膜炎では痛みを起こすことが多くなっています。いずれの場合も早急な眼科受診が必要ですが、痛みがある場合にはできるだけ早く受診することが重要です。
視界がまぶしい・まぶしく感じる原因
白内障
白内障は、レンズの役割を果たす水晶体が濁ってしまう疾患です。水晶体は早い方は40代で濁ってしまうなど、個人差はありますが加齢により誰もが濁ってしまいます。また、先天的なもの、外傷・アトピー・薬剤・放射線などによるもの、他の目の病気によって発症する場合もあります。
水晶体が濁ると、光が乱反射して以前よりまぶしく感じる、物が二重に見えるなどの症状を起こします。昔は失明に至ることもありましたが、現在では人工の眼内レンズを挿入する手術によって、年間150万人の方が以前のような見え方を取り戻しています。
白内障の治療
濁った水晶体を透明に戻すことはできないため、日常生活に支障を生じるようになったら水晶体を取り除いて人工の眼内レンズを挿入する手術が必要です。多焦点レンズなども登場しており、できるだけ眼鏡を使わない生活ができるケースも増えています。
ぶどう膜炎
ぶどう膜は、眼球を包む脈絡膜、毛様体、虹彩を含む組織で、血管に富んでいます。ぶどう膜炎は目の中に炎症を起こす病気の総称で、内眼炎とも呼ばれます。細菌やウイルス感染による細菌性眼内炎やヘルペス性虹彩毛様体炎、全身の免疫異常による強膜炎・サルコイドーシス・原田病・ベーチェット病、外傷や悪性腫瘍によって生じることもあります。また、原因がわからないケースも多く、診断がつくまでに何年もかかることも珍しくありません。こうしたことから、一般的な眼科検査に加え、詳細な問診や全身の様々な検査が必要になることもあります。
ぶどう膜炎の治療
炎症を抑えて視力障害につながる合併症を予防する治療が基本になります。原因疾患や重症度などによって治療法は大きく異なります。一般的に、炎症を鎮める効果の高いステロイド点眼薬を使い、虹彩と水晶体の癒着を防ぐための散瞳薬点眼を処方し、炎症が強い場合にはステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤などの注射や点滴が行われることもあります。
ドライアイ
涙の不足や質の変化によって、目が乾いてしまう疾患です。見えにくさ、まぶしさ、ゴロゴロする不快感、目が疲れやすいといった症状を起こし、涙の不足を補うために涙の量が増えることもあります。ドライアイになると角膜が傷付く・感染を起こすリスクが上昇してしまいます。エアコンによる部屋の乾燥、パソコンやスマートフォンの長時間使用、コンタクトレンズの使用などによってドライアイの発症は増加傾向にあり、現在では日本で2000万人の方がドライアイに悩んでいるとされています。
ドライアイの治療
軽度の場合は市販の目薬でも改善できる場合もありますが、悪化させてしまうケースもあります。当院では症状や状態、日中に点眼でいるタイミングや頻度などにもきめ細かく合わせた点眼薬の処方を行っています。また、こうした治療では十分な効果を得られない場合には、涙の排出口である涙点にプラグを挿入する治療が可能です。涙点プラグの挿入は外来で短時間にできる治療であり、痛みもありません。
また、意識的にまばたきを増やす、部屋を加湿する、デスクワークの際のイスや画面の高さを調整する、こまめに休憩する、ホットタオルで目を温めるなどのセルフケアも有効です。
角膜感染症
角膜は黒目の表面にある部分で、外気に接している透明な薄い組織です。角膜感染症は、角膜に病原体が付着して増殖している状態です。角膜の表面には角膜上皮という組織があって感染から守られていますが、ドライアイやまつげによる刺激などによって角膜上皮に傷が付くと感染を起こしやすくなります。
コンタクトレンズを装用している方に多い細菌性角膜炎、免疫力が低下したり枝や土埃が目に入ったりすることで発症する真菌性角膜炎、水道水などにも含まれているアカントアメーバがコンタクトレンズに付着して感染するアカントアメーバ角膜炎、ヘルペスウイルスによる角膜炎などがあります。
角膜感染症の治療
細菌性角膜炎は抗生物質による治療が有効です。真菌性角膜炎の場合には、カビに効果のある抗真菌薬による治療が必要です。アカントアメーバ角膜炎には有効な治療薬がなく、消毒のための点眼や抗菌薬の点眼などを行い、角膜表面を削るといった治療が必要になることもあります。ヘルペスウイルスによる角膜炎では、抗ウイルス薬の眼軟膏、内服、点滴などを行います。